山陰編

人麻呂の石見相聞歌と万葉集終焉の地を訪ねて


山陰地方の万葉は約40首あると言われるがそのほとんどが島根県で詠まれており、
鳥取県では大伴家持が因幡国庁で詠んだ歌のみが特に有名である。
 
  新しき 年の始の 初春の 今日降る雪の いや重け吉事

この歌は万葉集の最後を飾る歌で家持がこの世に残した最後の歌でもある (巻20-4516)

島根県の万葉故地は現在の大田市から浜田市にかけての海岸と江津市の江の川付近、
また都野津も「角の里」と呼ばれ柿本人麻呂の妻が隠れ住んだところと言われている。
石見相聞歌はこの妻との別れを詠んだ長歌、反歌10首の歌群から成っている。
別れ来た妻への激しい恋情を石見の海の景物を詠い込み
悲しいまでに表現した人麻呂の心情に読む者は心を打たれます。