北陸編>新 湊
奈呉の浦
新湊市の海岸の防波堤のきわに放生津八幡宮が鎮座する。この辺りが万葉集に詠まれた「奈呉の浦」といわれている
八幡宮の境内の裏手に歌碑を建立して奈呉の浦を記念としている
東風(あゆ)を疾(いた)み 奈呉の浦廻に 寄する波 いや千重しきに 恋ひ渡るかも 大伴家持 (巻19-4213)
富山県一帯では夏に吹く強い東北または東風を「アイの風」という。万葉時代は「あゆのかぜ」といったらしい。
思い描いていた奈呉の浦を探してみたがそれらしきところは見当たらず、テトラポットに仕切られた人工的な港があるばかり…
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奈呉の浦
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放生津八幡宮
コマ札によると豊前国宇佐八幡宮を勧請し奈呉八幡宮としたとある。珍しいのは笠木の上に小さな唐破風が乗った鳥居と寺の本堂を思わせる本殿、そして階段の上に置かれた一対の木彫りの見事な狛犬(市指定文化財)
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放生津八幡宮
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歌碑
東風(あゆのかぜ) いたく吹くらし 奈呉の海人の 釣する小舟 漕ぎ隠る見ゆ 大伴家持(巻17-4017)
家持は「あゆのかぜ」という方言が気に入ったのか度々使っている。 歌碑の揮毫は佐々木信綱氏 -
奈呉の江
新湊一帯の海が奈呉の海でまぼろしの奈呉の江は放生津潟を指すものと思われるが近年の干拓でせばめられ地形も変っている。
現在の富山新港あたりで万葉の風情はまったくと言っていいほど見当たらない。写真は庄川河口付近